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ハイブリッドには、異種混成という意味があり、当ハイブリッド・カレンダーの特徴は、太陽暦(以下新暦)と太陰太陽暦(以下旧暦)のふたつを掲載しているところにあります。日々の暮らしは新暦によって動いていますが、旧暦を知らなければ季節の行事や用語のほんとうの意味はわからないのではないかという思いから考案しました。
簡単にいえば、新暦と旧暦ではほぼ1ヶ月のずれがあります。たとえば新暦2025年の元日は、旧暦ではまだ前年の12月2日。旧暦の元日は新暦2025年の1月29日にあたります。旧暦では桃の節句も新暦3月31日にあたるので、桃の花もほんとうに咲く頃です。旧暦の5月は新暦の6月頃ということを知っていれば、五月雨は梅雨のことだと容易に推測がつきます。季節の行事は旧暦のほうが自然です。
時代小説を読むときにも旧暦は実に役立ちます。赤穂浪士の討ち入りの日、元禄15年12月14日は大雪だったとか。しかし、実は12月にはめずらしい大雪の日だったのではなく、新暦では1月(1703年1月30日)のことだったのです。東京ではこの頃の雪はよくあることですよね。どの小説も季節を置き換えて読むことで、味わいはいっそう深くなるでしょう。
例えば2025年の9月9日はどういう日かハイブリッド・カレンダーで調べてみましょう。この日は旧暦の7月18日にあたり、節切りの八月節の始まる白露の翌々日で秋分の日の13日前です。その日は重陽/菊の節供、赤口、干支は辛巳(かのとみ)、四緑木星、選日は小犯土、潮は大潮になって3日目です。潮がよく動き釣果が期待できるかもしれません。また翌9月10日は旧暦7月19日ですから二百十日です。要台風の強風です。この月の満月は前日の8日ですから中秋の名月は翌10月の6日になります。
○節切りとは立春の日を元日とする考え方。選日の多くはこの節切りの各月と干支で決められています。
○白露は二十四節気のひとつで秋分のひとつ前。本格的な秋はもう少し先ですね。狭義には9月8日の白露の日を差し、広義には9月22日の秋分の前日までの期間をいいます
○友引は六曜のひとつで、相引きで勝負無し。朝晩は吉、日中は凶とされています
○丙子(ひのえね)は干支です。干支は十干十二支を組み合わせたもので、60の組み合わせがあり、年・月・日にあてて用います。七赤白金星は五行の気(木・火・土・金・水)に色(白・黒・碧・緑・黄・赤・紫)を組み合わせた九つの星を、年・月・日に割り当てた九星のひとつです。性格や運勢、方位などを占うのに用います。
○中潮は潮名で、潮の動きは月の満ち欠けと関係があり、新月と満月の頃が干満の差が最も大きくなる大潮で、上弦、下弦の頃が干満の差の小さい小潮になります。この日は大潮から中潮、小潮となる中潮の最後の日で、干満の差が段々と小さくなりやがて小潮になります。実際の大潮や小潮のピークは太陽と月の起潮力のズレなどの影響で、新月や満月の日より1日程度遅れます。本カレンダーの潮名の表示は実際の動きを想定したもので、旧暦のみによる暦の表示と少し違うことがあります。
毎日、カレンダーから今日はどんな日か読みとるのは楽しいものです。
旧暦では1年を4つの季節に分けています。春は睦月・如月・弥生(旧暦1月〜3月)、夏は卯月・皐月・水無月(旧暦4月〜6月)、秋は文月・葉月・長月(旧暦7月〜9月)、冬は神無月・霜月・師走(旧暦10月〜12月)です。
また各月の日数が一定でないのは、月の朔望(満ち欠け)の周期が約29.5日であるためで、30日の月(大の月)と29日の月(小の月)を作って調整しています。
六曜は日の吉凶を表すものです。先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の順でくりかえされますが、月によって始まりが変わります。六曜は今でも生活のなかで利用されています。例えば大安は婚姻や引っ越し、旅行などすべてのことによい日とされていますが、仏滅はその逆ですべてのことに凶の日といわれています。友引の日に葬儀を避けるのは、一緒に連れていかれそう、というイメージからでしょう。先勝は午前は吉ですが、午後は凶です。先負はその逆で、午前は凶で午後は吉です。赤口は正午頃を除いて何事をするにも凶の日です。
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太陽暦(新暦)は太陽の運行をもとにして作られているのに対し、陰暦は月の運行をもとに作られています。陰暦の各月は新月の日(朔)を1日にして始まります。月の朔望の周期は約29.5日ですので、1年は365日ではなく354日です。年の初めは毎年11日ずつずれていくことになるので、そのままでは夏に新年がくるということにもなります。それでは不都合なので、太陽の運行を基準にした二十四節気を入れたものが太陰太陽暦(旧暦)です。11日間のずれは19年に7回の閏月を入れることで調節し、年の初めが太陽の運行とも大きくぶれないようにしてあります。閏月の入った季節が長くなることになります。太陽暦では今年が4年に一度(400年に97回)の閏日が入る年に当たり2月が29日になります。
月は毎日姿を変えていきます。月の満ち欠けは太陽との位置関係で決まります。月が太陽と同じ方向にあり、地球からは暗い半面しか見えないときが新月です。反対に月が太陽の光を全面に受けているときが満月になります。その中間が上弦・下弦です。
旧暦(陰暦)では1日はいつも新月で、新月のときは月は見えません。三日月は新月から3日目の月のことであり、十三夜は13日目の月をさします。つまり陰暦の3日には常に三日月が見え、8日や9日には上弦、15日や16日には満月が見えることになります。
1月の夜空を見上げて三日月が出ていたら、その日は師走の3日ということがわかります。江戸時代の人は暦をみなくても月さえ見れば何日かわかったのでしょう。
このカレンダーでは新月・三日月・上弦・十三夜・満月・二十夜・二十六夜を黄色い月で載せています。
今日は旧暦では何日でしょうか。月を見て推測してみてください
暦はもともと中国で作られていたものが朝鮮を経由して日本に伝わりました。日本書紀によれば欽明14年(553年)に百済から暦博士を招き、推古12年(604年)に日本で初めての暦ができたという記載があります。平安時代に制定された宣明暦が800年間使われていましたが、江戸時代に貞享、宝暦、寛政の改暦を経て天保時代に作られた天保暦が明治にいたるまで使われてきました。今、旧暦とよんでいるのはこの天保暦をさします。これは太陰太陽暦です。明治5年(1872年)に旧暦は新暦(太陽暦)に改暦されましたが、この旧暦に根ざした行事や季節感は今も日常生活の中に生きています。
太陽の運行を基準にした季節区分法。地球が太陽を一周する360度を24等分し、季節を示したものです。春分点を基点にし、東回りに15度間隔の等分点が、それぞれの節気にあたります。
立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒。
それぞれの説明は当ハイブリッド・カレンダーに記載されています。
日の吉凶をこれで見て、よりよい日を選びます。
八専(はっせん)は婚礼や神仏事は凶ですが、建築関係は大吉とされる日です。十方暮れ(じっぽうぐれ)は新規事始めや婚礼は凶。天一天上(てんいちてんじょう)は基本はよい日ですが、家の造作はやめたほうがよいとされています。一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)は一粒のタネをまけば一万倍に増えるという縁起のよい日です。ただし借金には気をつけてください。一万倍に増えてしまいます。不成就日(ふじょうじゅび)は文字通り、大事なことは見合わせたほうがよい日です。三隣亡(さんりんぼう)は、この日に建前などをすると火災で近隣に迷惑をかけるというので、建築界などでは忌み日とされています。しかし江戸時代には三輪宝と書き吉日だったといいます。天赦日(てんしゃび)は天の恩恵によりなにごとも起きないという安心のできるとてもいい日です。三伏(さんぷく)は一年で最も暑い時期なので、種まきや和合事などには向かないでしょう。犯土(つち)は土を犯すことは凶という日なので、穴を掘ったり、盛り土をしたりは、しない方がよいとされる日。前半を大犯土(おおつち)、後半を小犯土(こつち)といいます。
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